遺伝子検査で自分に合った薬を選ぼう

遺伝子型に合わない薬は作用しない?

 

前回、遺伝子にあわない薬は効果がないという話をしました。
今回はその薬の話の続きです。

 

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薬を飲んだあと、血液中の薬物濃度は徐々に上昇していき、作用域とよばれる、薬が有効に作用する濃度に達します。

その後も薬物濃度は上昇しますが、副作用の危険性がある濃度(副作用域)になってはいけないというのが薬の原則です。

作用域と副作用域の濃度差が大きな薬物ほど、副作用のリスクは少ないということになりますが、抗がん剤などはこの範囲がきわめて狭く、したがって大きなスタンスで見るとリスクの大きい薬物といえます。

たとえば、タキソテールという抗がん剤があります。これはエストロゲンという女性ホルモンを抑制する薬で、とくに乳がんに有効とされていて、手術の前後に補助療法として使われます。

しかし、このタキソテールは、体内で分解されて別な物質に変化しないと効果がでません。ですから、分解できない遺伝子の持ち主には、まったく効かないことになります。

抗がん剤は絶対に避けたい、でも治療のためには仕方ないと一大決心をして服用したのに、薬効はない、しかし髪の毛は抜ける、吐き気や嘔吐、下痢に悩まされるなどの副作用はあらわれる。このような悲劇は避けねばなりません。

遺伝子検査で薬との「相性」が事前にわかっていれば、こうした悲劇を防ぐことができます。

 

ピロリ菌除菌にみる遺伝子型

 

次に、ピロリ菌の除菌についてです。日本人のピロリ菌の感染率は50%超、50歳以上では80%が感染しているといわれています。
今や、人間ドッグではピロリ菌感染の有無のチェックは、ルーティンになっています。

また、内視鏡検査では「びらん」や炎症像があれば、かならず細胞を採取してピロリ菌感染の有無を確認します。

結果が陽性なら、ほぼ間違いなく除菌治療を勧められます。患者さんは、胃がんのリスク因子であることを告げられれば、通常は治療することを選択します。

さて、標準治療のピロリ菌除菌の薬は、3種類の抗生物質+オメプラゾールという胃薬です。

オメプラゾールを処方する目的は、胃酸の分泌を止めて胃の酸性度を下げること(phをあげること)にあります。抗生物質は酸性度の高い状態では機能しないからです。

 

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ところが、オメプラゾールを内服後にあっという間に代謝分解してしまう遺伝子型の持ち主がいます。このような方は、胃の酸性度を下げることができず、抗生物質が胃の中で効果を発揮できません。

つまり、オメプラゾールを処方しても、ピロリ菌の除菌治療効果がないのです。

除菌効果がないだけでなく、その後、抗生物質は胃を通過して腸に到達します。その際、抗生物質が奏功して、健康づくりの要である腸内の「善玉菌」を含めた「腸内常在菌」を破壊するオマケがついてきます。

 

遺伝子検査で自身にあった処方薬を選ぼう

 

今後はピロリ菌の除菌治療の際に用いる胃薬は、遺伝子検査によって選択され、遺伝子型によってピロリ菌除菌治療は処方薬の種類や処方量を変えることになるでしょう。

このように遺伝子検査、正確には自分の遺伝子型を知ることで、治療の効果が大きく異なります。ご自身の遺伝子型にご興味ある方は、是非お気軽にご相談ください。